in the Berlin Apartment.

Story
時代と共に常に変化し続ける街、ドイツ・ベルリンの120年を見てきたアパートメント。かつての住人たちが残した過去の“遺物”に秘められた過去の冒険の物語はすべて違う主人公、違うジャンル、全く違う雰囲気のものだったが、その舞台はいつも同じ4つの壁の中だった。






コロナ禍によるロックダウンの最中、ベルリンにある古いアパートの改装が行われていた。
ディラーラは父・マリクの仕事を手伝うため、改装中のアパートへと足を運ぶ。
作業中、彼女は部屋のあちこちに、かつてここに暮らした人々の痕跡を見つける。
それをきっかけに、父はアパートの過去に住んでいた人々の物語を、そっと語り始めるのだった。

東西冷戦の終結とドイツの再統一という歴史的な大きな転換期。東ベルリンで暮らす少年コーリャは、息苦しい日常に苛立ちを募らせていた。
そんなある日、ベルリンの壁の向こう側——西ベルリンから、謎めいた手紙が届く。彼は返事を紙飛行機に託し、窓から壁の向こうへと投げるのだった。一通の手紙が二人の間に小さな恋の物語を芽吹かせていく。

東西冷戦の最前線であり、政治的な緊張と社会的変動が同時に進行していた時代。
SFオタクで作家としてのキャリアを歩み始めたアントニアは、2作目の執筆に苦しんでいた。
出版社のブーロウ氏からのプレッシャーが重くのしかかるなか、彼女はいつしか空想の世界にのめり込み、物語と現実の境界があいまいになっていく——まるで物語そのものに呑み込まれていくように。

第二次世界大戦が終結したばかりの冬。
廃墟となったアパートの中で、少女マティルダはクリスマスの飾りつけになるものを探していた。
だが、その探索の中で彼女は、家族がナチス政権下で抱えていた痛ましい過去の秘密と向き合うことになる。

自由が奪われ、民主主義が崩壊した激動の年。
ユダヤ人の映画館主で実業家のヨーゼフは、ドイツを離れる決意をし、静かに荷物をまとめていた。
部屋に溢れる思い出に浸りながら過ごす彼の周囲では、台頭するファシズムの波が確実に迫り、隣人たちの敵意も日に日に色濃くなっていく——祖国を後にする者の、切なさと覚悟が交錯する。